岡山大学は、乳がん患者の不安や孤独感に寄り添う心理支援特化型のAIチャットボット「AIピアサポーター」を開発し、岡山大学病院で12週間の実証試験を始めます。対象は周術期化学療法、手術、再発治療で入院する患者で、満足度やQOL(生活の質)評価体制の実行可能性などを検証します。乳がん治療では身体的な負担に加え、再発への恐怖など精神的ストレスも大きい一方、医療スタッフや既存のピアサポートは時間的制約があり、相談自体の心理的ハードルも課題とされます。今回のAIは乳がん経験者として対話できる想定(ペルソナ)を専門医が設計し、夜間や休日など患者の都合に合わせて相談しやすい点を特徴とします。研究資金は公益財団法人橋本財団の2024年度福祉助成金と、JSTスタートアップ・エコシステム共創プログラム(PSI2024_S1A10)を活用します。今後は実証結果を踏まえ、がん領域での心理サポートの標準的ケアとしての位置付けや運用方法の検討が進む見通しです。

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